自然の楽しみ方はいろいろありますね。心地よさや美しさを感じることを大切にする方、いろいろなものの名前を知ることを大切にしている方、アドベンチャーな体験を重視する方など。
私はガイドとしては、生き物たちの独特の生態や、自然のうまくできている仕組みなどをお話しすることが多いです。
一方、自分で森の中に出かける時は、何も考えない時間やただそこにいるだけの、いわゆる「ぼーっ」とした時間が好きで出かけています。
私が学生時代よくお邪魔していた本屋さん(かつて名古屋にあったSaranaというお店)のご主人が、環境庁(当時)への就職祝いにくださった本が、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』でした。自然が好きな人の間では有名な本だと思います。
その本の中の一節に「知ることは感じることの半分も重要ではない」というものがあり、よく引用されています。
この文章は、たまに「自然とふれあうのに、知識はいらない」というように解釈されることがあります。しかし前後の文脈からすると、カーソンが言いたかったのは、知識の否定ではなく、まずは驚きや不思議に思う心が大切だ、ということだと思います。
知識は感動を深くしてくれます。
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目の前で揺らめく木々の葉。緑の色は私たちに安らぎを与えてくれますね。
その緑色を生み出しているのは葉緑体。細胞の中にある小さな存在です。
そのもとをたどると、20億年ほど前に独立して生きていた単細胞の光合成生物に行きつくようです。
それが何かのきっかけで別の生物の細胞の中で共に生きるようになり、長い時間をかけて、今の葉緑体になりました。
目の前の葉の緑は、ただ美しいだけでなく、そんな長い生命の歴史も秘めています。
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夜空で輝く星の光。白く見える星、黄色く見える星、赤く見える星、青みを帯びた星などもあります。
| (お客様撮影) |
それらの光は、シリウスなら約9年、ベテルギウスなら約700年、アンドロメダ銀河なら約250万年かかって、私たちの目に届いています。
夜空を見上げる時、私たちはさまざまな時代の光を同時に見ているのです。
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目の前を飛んでいくかわいいシジュウカラ。恐竜の子孫です。
| (photoAC) |
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私たちが世界にふれ、感動や驚きが生じると、不思議に思う心、「どうしてそうなっているのだろう」と、その理由を知りたくなる心が動き出します。
そこに、先人たちが積み重ねてきた知識が加わり、改めて自然や生物にふれると、ときとしてその感動はさらに深まります。
そのように知識は世界を眺める時の「触媒」になってくれます。
知識そのものも面白いものですが、なによりそのような働きがとても大切だと思うのです。それは、カーソンの言葉の一面でもあるのではないでしょうか。
知ることからではなく、まず感じることから始める大切さ。それはしばしば頭でっかちになってしまう私の自省のための言葉でもあります。
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感じ、驚き、不思議に思い、知りたくなり、改めて感じる。
そんな繰り返しが私たちの世界の見え方、感じ方を、少しずつ深くしてくれたのではないでしょうか。
私たちに感性と知性の両方が備わっていることは、本当に恵みだなと思いながら、カエルの鳴き声を聴いています。

